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2016年01月21日

日本海軍 新型水筒の変遷

末期の水筒を紹介した際にチラッと話した推測をまとめたいと思います。

*口栓
日本海軍 新型水筒の変遷
年表
〜昭和12年
・新型水筒登場・鋳造アルミ製(写真左端)
昭和14年
・アルマイト処理開始(写真左から2つ目)
昭和15年
・新形状の口栓(アルマイト処理)が登場(画像無し・形状は右の物と同じです)
昭和15年〜17年始め頃
・旧形状の口栓が塗装される(写真中央右)
・新形状の口栓が黒染めに変更(写真右端)
内部のコルクはネジで口栓に止めてあるもの、牛乳瓶の蓋状のもの、栓状の物などがあります。形状から牛乳瓶の蓋状の物が最も古いものと考えられます。

*鎖
日本海軍 新型水筒の変遷
昭和14年頃まで真鍮製でしたが、並行して存在したアルミ製が後の主流になります。

日本海軍 新型水筒の変遷
画像は昭和14年頃の海軍水筒。アルマイト口栓に真鍮の鎖です。通常の物より幅広で短いですが、あまり意味がなかったのか元の寸法に戻されたようです。

*水筒紐
日本海軍 新型水筒の変遷
日本海軍 新型水筒の変遷
図にすると余計に分かりづらくなってしまいました…。

日本海軍 新型水筒の変遷
昭和12年の登場時、水筒紐は二本の紐で構成されていました。調節は負紐側の日の字の金具で行います。金具は真鍮が多いですが、鉄製も存在します。鉄が代用素材のはずですが、末期の物でも鉄・真鍮共存しており置き換えには至らなかったようです。

日本海軍 新型水筒の変遷
昭和13〜14年には片側の接続金具が省略され、紐が一本になります。

日本海軍 新型水筒の変遷
推定ですが、昭和15年頃から調節金具が大幅に変更されます。現在残る海軍水筒はほぼこれでしょう。中田商店の水筒紐は遊環が金属製ですが、このタイプを再現しているようです。

日本海軍 新型水筒の変遷
そして末期になると紐が水筒紐以外の紐や布地などに省略されたりします。

*水筒覆
本体です。元は水筒紐と共に茶褐色白色でしたが、共に昭和12年9月より褐青色へ変更されています。鳩目はアルミ製が多数派ですが、初期は真鍮、中期以降には鉄製なども存在します。

日本海軍 新型水筒の変遷
初期の水筒覆内部。この個体は塗色変更以前のものの為、染まり方にムラがあり裏地がまだらに染まっています。裏地の内側には断熱の為シュロなどの繊維が入っています

初期と後期の違いの一つに水筒紐を通すループの縫製の違いがあります。
日本海軍 新型水筒の変遷
日本海軍 新型水筒の変遷
初期型は全て水筒覆の外側に縫い付けられています。
一方後期は下端のループが水筒覆内部に縫いこまれています。この変更は昭和15年頃までに行われたようです。

*水筒本体
全体的に丸みを帯びた形状をしていますが、後期には省略の為か角がついているものが登場します。具体的な時期については確証が得られませんでした。


憶測では物を言いたくないのですが根拠となる資料がほぼ見つからず、結果として憶測に近いものになってしまい誠に申しわけないです。是非皆様のお知恵を拝借したくあります。

全体の年表(仮)
〜昭和12年
・新型水筒登場
昭和12年
・水筒紐及び水筒覆、色が褐青色へ変更
昭和13〜14年
・水筒紐の形状が小改良
昭和14年
・口栓、アルマイト処理開始
・これまでにアルミ製の鎖が登場
〜昭和15年
・新形状の口栓が登場
・水筒覆・水筒紐の形状変更
昭和16年〜17年
・口栓の黒染め・塗装開始
〜昭和18年
・水筒本体の形状が異なる群が出始める?
昭和19年〜
・戦況悪化による簡略化




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Posted by 宇佐見 寛永  at 19:57 │Comments(0)海軍

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