CATEGORY:海軍 略シリーズ 三種軍装

2015年11月12日

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3

本日は二つの略衣をまとめて紹介したいと思います。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
まずはこちら、昭和19年の第二衣糧廠製下士官兵略衣です。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
略衣は昭和十八年勅令第九一◯号・海軍服制中改正にて略帽略袴と共に登場しました。略衣は昭和十九年勅令第五一◯号で制式を変更されます。今回紹介するのはこの変更された後のものです。
給与令に依れば略衣袴の一人当たりの貸與品は三組、略帽は二個です。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
多少の色褪せはありますが、虫穴も2、3の塊しかなく比較的良い状態だと思います。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
大釦は金属平釦こと三号形釦の代わりに竹製のものが付いています。胸部物入れの釦は年輪が見えるので木製のようです。
下士卒の略衣の内、第二衣糧廠と二衣岡山支廠の釦は塗色の有無こそあれど竹・木製のものが大多数のようですね。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
記名印。寸法は二号です。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
お次はこちら、昭和20年・第一軍需部青島支部製の略衣です。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
ベンツからチラッと見える白いものは記名布です。手持ちの中で一番原型が残っている美品。頬擦りしたい(生地だけなら士官用もどきの上海製に軍配が上がりますが、あちらは釦が変えられています。)

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
これも釦は三号形ではなく角釦が付いています。やや薄いような…。胸の小釦は略袴の記事で紹介した青島製の特徴の一つ、べっ甲のような透明樹脂です。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
記名布。やたら大きな②の印は青島製のみでしか見ないですね…。記名布+横向きの製造年月の組み合わせは十中八九青島製ですが、記名布タイプだけではなく記名印の物もあります。(製造箇所の部分を見れば済む話?細けえことはいいんだよ!)

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
比較画像です。まずは胸部物入れから!
青島支部製の方が丸みが強く、一回り小さいですね。釦に注目です。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
肩当と脇の補強です。第二衣糧廠製の方は肩当に白い木綿生地を使用しており、脇の部分も別生地が当てられています。転じて青島支部製は同じ生地です。昭和19年製の物には略袴と同じく茶褐色のものが当てられているものもあったんですが、戦局の悪化で省略されたんですかね?

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
物入れの補強も違いますね。ここまで来るとこじ付けかも?

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
記名布/印まわり。
ベンツ周辺の縫い目も違いますね。

日本海軍 下士官兵略衣(昭19制)その2・その3
ボタンまわり。一見変わりはないように見えますが、19年の二衣製でちゃんと処理されていた生地末端が20年の青島製では切りっぱなしになってしまっています…。

さらに末期になると一部で肩当が二重+肘当+剣留が追加された変種や全体に裏張りが貼られた冬用が試作されているようです。現物をご用意出来ず申し訳ないです。

たった一年未満でここまで大量に配備された略衣袴、奥が深いとは思いませんか?




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Posted by 宇佐見 寛永  at 21:05 │Comments(0)海軍略シリーズ三種軍装

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