寛永第一衣糧廠

本日は趣を変えて教育に関しての記事です。一号繃帯包はオマケです()
「四等兵衛生参考書」とはその名の通り、海兵団に入団した兵が衛生に関する基礎知識を習うために使うものであります。
五章に分かれた目次を見れば、「身体の清潔」という常識的なものや「毒ガスに対する応急処置法」という実戦的なものなど実に様々な物があります。
ただ、この場で全文を書き起こすのは不可能な為、“ツカミ”を紹介するに留めたいと思います。全文を読みたければ課金しよう

緒言
「軍隊ノ生命タル戦闘力ハ武器ノ精巧ナルヨリモ寧ロ兵ノ勇敢ニ待ツ、勇敢ナル精神ハ精力旺盛ナル肉体ニ宿ル、故ニ兵ハ常ニ各自ノ健康ヲ保持増進ニ心掛ケザルベカラズ、之ヤガテ国家ニ対スル御奉公ノ第一歩ナリ。
如何ニセバ健康ヲ保持シ増進シ得ルカ居常身体被服居住ヲ清潔ニシ飲食ニ注意諸欲ヲ制シテ身神ノ鍛錬ニ力ムルナリ。
精神ノ鍛錬ニハ五箇条ノ聖訓ヲ奉戴シ起居之ヲ念ズレバ足リ身体ノ鍛錬ニハ日課ヲ励メバ可ナリ、故ニ本参考書ニ於テハ身体被服居住ノ清潔ト飲食ノ注意及諸欲ノ制御ヲ説キ併セテ日常須知ノ病気及咄嗟ノ傷病ニ対スル応急処置ヲ教ユベシ。」
要は参考書の意義を説くものです。肉体と精神！
さて、前文が終われば当然本文があるわけですが、これは一部を現代語で駆け足に箇条書きにしたいと思います。

第1章 身体ノ清潔
・風呂では身体をよく洗え
・水虫や田虫など同僚に感染る病は治療をせよ
・五分刈りは頭脳をよくする(!?)
・厠に行く時紙の持合せなき時ほど不都合なる事はなし(!!?)
後ろ二つは個人的な理由で抜き出しました() 軍人さんも人間なので悩む事は一緒なのですね。

第2章 衣服ノ清潔
・兵の衣服は既製の官給品だから皆が皆身体に合うとは限らないがそれは健康を害す
・襦袢・袴下・靴下はよく洗え
・靴擦れを防ぐ為には靴下に皺が出来ないよう履け
・釣床の中に汚れた靴下・褌等を置きっぱなしにするな
靴擦れの防ぎ方は現代でも(特に着装派諸氏にとって)有益ではないでしょうか。

第3章 居室の清潔
・部屋の掃除、換気をよくせよ
・隙間風は休憩・睡眠時に感冒や「レウマチス」、胸膜炎等の恐るべき疾病を
招くので戸窓を閉じる際は密閉せよ
・唾を吐き散らすな
感冒は風邪、レウマチスはリューマチの事です。

そして

第4章 飲食ニ関スル注意
・湯茶の飲み過ぎは良くない
・間食は慎め
・夏に飲む冷水は百害あって一利なし

第5章 睡眠ニ対スル注意
・規則正しくを是とする
・寝冷えを避ける為腹を出して寝たりするな

第6章 性病
・海軍における性病患者は多く、その治療費は莫大である。その額なんと25万(現代ならウン億です)
・実に性病と肺結核と酒は国家の三大災害である
・性病と娼婦は光と影
・性欲の衝動は不規律なる生活及卑俗なる談話・書画に依ることが多い。規則正しく生活しつとめて運動を行い高尚な遊戯に親しめば衝動は緩和される

第7章 伝染病
・赤痢やチフスなど、伝染病は往々多数の犠牲者を出し一隊一艦の戦闘力を喪失させ得る
・多くの菌は日光の直射、煮沸、高熱、昇汞などの薬品に会えば死滅する
・予防接種は人に免疫性を与え、その効果は顕著である
・予防の五則

第8章 応急処置法
・失神、溺没、凍冱凍傷、窒息、熱傷、感電、熱射病への対応法

と続いていきます。性病といえば例のゲームの提督は大変な事になってそうですね近代日本は国防と並行して病気との戦いもしなければならなかったんですね。
なんだ、これで終わりか…なんて思いましたか？之はあくまで序の口で、この次からより本格的な救急法についての記事が始まるのです。人口呼吸や患者の運び方などが図入りで説明されています。ここから先は有料放送

ここで漸くタイトルにある一号繃帯包の登場です。第4節・応急装創法(ざっくり言うと包帯の巻き方です)にて登場します。


昭和17年5月製です。二号救急嚢の入れ具の一つでもありますね。「ガーゼ」三枚と三角繃帯一枚、安全針二個のセットです。耐水紙に包まれている為安全針しか確認出来ませんが、中には上記の物が入っているはずです。
二号繃帯包も紹介出来れば良いのですが…。
そしてこれを…

頭に巻いたり…(一号包使用)

肩に巻いたりするのです(ニ号包使用)。記憶が正しければ、御殿場コンバット等のイベントではヒット後に包帯を巻く機会があるはずですので、退場時に教科書通りの巻き方をしてみるのはどうでしょう？(何言ってるんだ)

真ん中のあたりがすっぽり抜けていますが、ここでこの記事は終わりたいと思います。また時間があれば目次だけでも書き起こしたいですね〜。ではでは。